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Ubuntu 日記

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「慰安婦は売春婦」ラムザイヤー論文への総攻撃









元・売春婦 「慰安婦像の隣に座る李容洙」 2021-04-30













「従軍慰安婦」ラムザイヤー論文への総攻撃が続く、批判者たちへの根本的な疑問
https://news.yahoo.co.jp/articles/2624c5174134261ccaca71dd9e191d7c26173c59

3/24(水) 6:02配信

早大教授・有馬哲夫氏の特別寄稿

画像:
慰安婦問題は日韓の懸案であり続ける
https://news.yahoo.co.jp/articles/2624c5174134261ccaca71dd9e191d7c26173c59/images/000


 ハーバード大学教授の書いた「慰安婦」に関する論文は大きな波紋を呼んでいる。特に韓国側の反発は強く、さまざまな形で論文や教授を批判するコメントや記事が連日のように報道されている。しかし、実際のところ、論文そのものを丹念に読んだ人はどれだけいるのだろうか。公文書研究の第一人者、有馬哲夫早稲田大学教授は、一連の批判を見て、いくつかの根本的な疑問を投げかける。前回に引き続き、以下、有馬氏の特別寄稿である。

 ***


 ハーバード大学のJ.マーク・ラムザイヤー教授が発表した論文「太平洋戦争における性契約Contracting for sex in the Pacific War」に関する騒動が収まらない。

 騒動と書いたが、実態としてはほとんどがラムザイヤー教授への批判であり、バッシングだと言っても過言ではない。

 もちろん、論文に瑕疵や間違いがあるのならば、それに対する批判が寄せられることはおかしなことではない。

 しかし、客観的かつ学問的な観点で見た場合、現状の批判は不当なものが目立つ。以下、その理由をご説明しよう。

(1)「契約書がない」という批判について

 ラムザイヤー教授をバッシングする人は、朝鮮人女性が周旋業者・経営者と交わした契約書を彼が入手していないと非難する。

 その契約書が無いのに、なぜ当時の契約状況がわかるのか、という論理である。

 何も知らない人がそう聞けば、「なるほど」と思うかもしれないが、これは間違いである。

 これは意味のない、非難のための非難だ。
歴史の研究を否定するに等しい

 前回の記事でも指摘したように、朝鮮人女性と周旋業者・経営者との間の契約書を示していないことはラムザイヤー論文の欠点にはならない。

 契約書がなくとも、前渡し金の額、年季などの慰安婦制度の実態は、当時の調査書や報告書や研究書でわかっており、個々の契約書は必ずしも必要ない。これは前回の記事に貼ったURLで読むことのできる文書群で明らかだ。

 念のためにここにもう一度URLを貼る(https://www.awf.or.jp/pdf/0051_5.pdf)。とくに113~116頁の米国戦争情報局(United States Office of War Information)心理戦作戦班日本人捕虜尋問報告(Japanese Prisoner of War Interrogation Report)の日本語訳、203~209頁の原文を読んで欲しい。

 当時の敵国である米国ですら、日本の慰安婦制度について「奴隷」「強制連行」といった観点での批判を行っていない。

 そもそも、契約書というものは公文書ではなく私文書だ。

 公文書なら公文書館で時間をかけて探せば見つけられる可能性が高いが、私文書は公文書館にはないので個人に当たらなければならない。

 これは、時間をかければ見つかるというものではないし、見つかったとして真贋の問題もある。

 また、運よく所有者が見つかったとしても、高度なプライバシーを含むものなので、見せてくれるかどうかもわからず、まして入手するということは、さらに難しくなる。

 もちろん、私文書である契約書があるに越したことはないが、公文書から当時の状況を推定することは可能である。その手法を否定するのは歴史の研究を否定するに等しい。


次ページは:なぜ、資料的裏付けがないとバッシングを?​ 
https://news.yahoo.co.jp/articles/2624c5174134261ccaca71dd9e191d7c26173c59?page=2

なぜ、資料的裏付けがないとバッシングを? 

(2)批判者たちの根拠の危うさ


 朝鮮人慰安婦の契約書以外の資料的裏付けについて、ラムザイヤー論文は註釈にかなりのスペースを割いている。つまり、膨大な量の資料を参照して書かれているということだ。

 その大部分は、戦前、戦中期に作成された日本語の文書だ。軍や官憲の記録や報告書や通達など一次資料もかなり多い。(写真参照)

 一点一点の資料はすでに知られているもので、他の研究者が使用しているものだが、それらをこれだけ網羅的に使っているのは例がない。

 日本人研究者もびっくりするほどの量の資料を踏まえて書いている。権威ある学術誌に掲載されたのも当然だ。

 批判者の中には、この論文が審査を「すり抜けた」などと言う人もいるが、恐らくこのレベルの学術誌の審査体制のことをよく知らない人が言っているのだろう。

 ではなぜ、資料的裏付けがないとバッシングされているのか。

 理由として考えられるのは、註に挙げてある一次資料のほとんどが日本語で、しかも軍や官憲の専門用語で書かれているものだということだ。

 アメリカなどの大学で日本史、日本研究を教えている教員には、流暢な日本語は話すが、新聞すら読めない者が実は多い。これは厳然たる事実だ。

 彼らの論文や著書をチェックしてみるといい。

 註釈のなかの日本語文献はきわめて少ないか、まったくない。彼らは、英語で書かれた本や論文をもとに、日本のことについて大学で教え、本や論文を書いている。

 少し弁護すると、欧米人にとって漢字で書かれてあるものを読むことはきわめてむずかしい。

 表音文字つまりアルファベットを使う人々は、表意文字つまり漢字を読んで理解することに、われわれが想像できないほどの困難を伴っている。

 実は、同じ表音文字、ハングルを使う韓国人にもこれは当てはまる。
専門用語だらけの文書が読めるのか

 欧米圏、とくにアメリカの大学教員がラムザイヤー論文を資料的裏付けがないと批判しているのを見ると首をかしげざるを得ない。

(1)で触れた英語の一次資料で十分ではないかとも思うが、それ以上に必要だというなら、註にある日本語の一次資料を読めばいいではないかと思う。

 問題は、彼らが、ラムザイヤー教授が註に挙げてある日本語文献を読んだのかという点である。

 読んでその資料が適正に参照され、引用されているか調べたのだろうか。

 そもそも彼らに、これらの軍隊や官憲独特の文体で書かれた専門用語だらけの文書が読めるのだろうか。

 こういえば彼らは顔を真っ赤にして怒るだろうが、実際に本人たちに聞いてみたい質問だ。

 予防線を張っておくと、かくいう私も、恥ずかしながら、当時の文献などは同僚の日本史の先生の助けがないと読めないこともある。そのくらい難しいのだ。

 このような疑問を呈するのも、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)政治学部の学部長マイケル・チェ教授が起草した批判声明に、919人もの経済学者が賛同したといった報道を目にしたからである。(声明については、「『慰安婦は自発的契約』とゲーム理論っぽく主張したハーバード大学教授の論文。ゲーム理論家たちが猛抗議」、竹内幹、一橋大学経済学研究科准教授、2月25日ブログに詳しい)

 この声明では論文内の分析や仮説を批判している。簡単に言えば「根拠がない」という主張である。

 しかし、UCLAの「政治学」あるいは「経済学」の研究者の中に、どれほど日本語の文献を読める人がいるのだろう。

 また、彼らは、ラムザイヤー氏が自分の論文の根拠として挙げた「米国戦争情報局文書」を読んだのだろうか。

 この文書で不十分だとして、批判をするのならば、他の日本語文献を読む義務がある。

 要するに、彼らは確認もしないで、声明に賛同しているのではないだろうか。


次ページは:ゲーム理論とモラルを混同
https://news.yahoo.co.jp/articles/2624c5174134261ccaca71dd9e191d7c26173c59?page=3


ゲーム理論とモラルを混同

 チェ教授は、こんな主張もしている。ラムザイヤー論文が経済学のゲーム理論を用いていることについての批判である。

「ゲーム理論は、罪と罰から核戦争まで、強制を伴う多くの状況を解釈するために役立つが、ゲーム理論を用いることで暴力的な搾取や略奪行為を無かったこととして立証することは出来ない」

 これはゲーム理論とモラルを混同しているのであって、論理として破綻している。

 冒頭でも述べたように論文を批判する行為は問題ない。しかし最低限、その論文や出典を読み込んだうえで批判をしなければならない。

「慰安婦は性奴隷に決まっている。それを否定するのは許せない」という声を市民団体が挙げるのは自由であるが、学問の世界にいる者が他者の論文を否定する際に、そのような粗雑なやり方を取ることは許されない。「決まっている」と人が思っていることに懐疑の目を向け、検証するのも学問ではないか。

 韓国メディアによれば、他にもノーベル賞受賞者を含む何千人もの科学者が声明に賛同したという。しかし海外の「科学者」の中に、戦時中の日本の公文書を読める人間はどれだけ存在しているのだろうか。もし存在しているのならばぜひ教えていただきたい。

 誤解されないように付記しておくが、筆者は、当時の慰安婦制度を批判する行為そのものは否定しない。「現代人の目」で見た場合に、蛮行に見える行為は歴史上数多くある。それらについて、歴史の教訓として現代に生かすことは必要だろう。ベトナム戦争時に現地の女性に暴行を働いた国もあると聞くが、そのような行為も非難されてしかるべきである。

 しかしながら、今回のような学術論文に現在の価値観を混入させることは慎まなければならない。

 あくまでもその時代の当事者がどう考え、どう行動をしていたかが論じられているのだから、そこに「現代人から見たら信じられない非道な行為だ」などという視点を盛り込むことは事実の認定を妨げるだけなのである。


次ページは:2015年に日韓で合意されている
https://news.yahoo.co.jp/articles/2624c5174134261ccaca71dd9e191d7c26173c59?page=4

2015年に日韓で合意されている

 仮に問題設定としてありえるとすれば、当時の法律上、制度上、許される行為であったのか、という点だろう。

 そして仮に当時も問題がある行為だったとしたら、なぜそのような状況が生まれたのか、といったことはテーマとして成立する。

 そうではなくて「現代の目で見て許されない行為だから許せないと言え」では言論の強制あるいはプロパガンダである。

 さらに付記しておけば慰安婦を「性奴隷」と表現することは「事実に反する」ので、そのような言葉は「使用しない」ということが、2015年に日韓両国の間で合意されている。

 日本だけではなく、韓国もこの点に合意している旨は、外務省の公表資料でも明記されているのだが、批判者たちはこうしたことを知っているのだろうか。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000472256.pdf)

(3)「根拠を示せ」という一見正しい要求の問題点

 ラムザイヤー教授の同僚のソク・ジヨン教授は「学問的自由とは責任を伴うものであり、事実に関する主張は適切な証拠に基づいたものでなければならない」とラムザイヤー氏を非難している。

 批判者たちはラムザイヤー教授に「根拠をしめすように」とか「資料的裏付けがあることを証明するように」とか求めている。

 だが、ラムザイヤー教授がなぜすぐに彼らの要求に応えられないのか、これまで述べたことからわかる。

 つまり、「米国戦争情報局文書」ですでに根拠と裏付けは示している。

 それ以外の根拠も資料的裏付けも、日本語文献で示しているのだが、要求している人々には日本語能力がない。

 とすると、彼らに証明してみせるために、ラムザイヤー氏は大量の日本語文献を英語に翻訳しなければならない。これは途方もない労力を必要とする。

 ハーバード大学は4月に学期が終わる。まだ、学期中だ。忙しい校務と授業の合間にこれをするのは無理だ。

 しかも仮に翻訳したとしても「翻訳が間違いだ」といった批判をしてくる可能性もある。

 ラムザイヤー教授が、韓国メディアとアメリカの無責任な科学者から大バッシングを受けているだけでも想像を絶する試練だが、日本語のできない学者たちの無理な要求がさらに大きな負担をかけている。ラムザイヤー教授の心情は察するに余りある。






有馬哲夫
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学総合学術院教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『原発・正力・CIA』『歴史問題の正解』など

デイリー新潮取材班編集

2021年3月24日 掲載

新潮社























































































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